日常。音楽多め。

本物

私はこの1ヶ月、ある大好きな人の2008年からのブログを全て読む作業をしている。

その人のブログを読んでいて気づいたのだが、私は苦悩や葛藤を抱えている時に産み出される言葉やものにグッとくることに気付いた。

側から見たらあまりいいことではないのかもしれない。決して苦しんでいる人を見るのが好きなわけではない、ということを大前提にありのまま書こうと思う。

 

具体的に書いてしまうと誰とわかってしまうので避けるが、15年ほど前から今に至るまで天国と地獄を見てきた人だ。

 

順風満帆な日々を過ごして、夢が叶い第一線で活躍していた。2008年がその頃だった。その時のブログに書き綴っていたのは日々忙しくしていてふと思いついたことや前向きな言葉ばかり。楽しかったことや飲み会の話、楽しそうな写真ばかり載せていた。文面からはその人の核の部分なども読み取ることはできず、本当にポジティブでいわゆる『リア充』な人間なのだと誰もがわかるような感じだった。

毎日のように更新されているのだが、Twitter感覚で書き綴っており、文字数も少ない。「楽しかった」や「楽しみ」などで締めくくられいる。

 

その後徐々にネガティブな言葉や将来への不安が垣間見えるような文章になってきた。

このあたりから雲行きは怪しくなり、ブログの更新もまちまちになってきた。

そして積み上げてきたもの全てが一気に壊れたのもこの時期であった。悪い大人に騙され、誰からも相手にされないように仕向けられ、思うように上手くいかない。誰も信用できなければ笑うことさえできていなかったと思う。

この時のブログで書いている言葉が本当に突き刺さるようなものばかりだ。

迷い、焦り、苛立ち、苦悩。その中でも自分のプライドを守るために精一杯努力をして生きている。それが伝わるような文章ばかりになっている。すごくジメジメしているし、ネガティブなのだが、人間らしい。ありのままの言葉で嘘偽りなく恥じらいもなく自分の気持ちを書いている。プライドも傷つけられ、プライドなんて持たない方がまし。そんな風に捉えられる言葉もちらほら見受けられた。

 

そしてその後、1人の人間と出会い、再出発を果たした頃のブログは読んでいるだけで心のひだを撫でられぐちゃぐちゃにされるようなとても強く、そして優しい文章になっていった。涙無しでは読めなかった。

 

それを乗り越え、しかしその後も死にかける。ICUに入るほどの重病を経験する。そして1人ではないことに気づき、周りへの感謝や以前とは違った前向きな言葉ばかり並んでいる。とても重く、読んでいる側が考えさせられるようなものだ。今現在もそんな感謝やそんな15年で生まれた新たな感情を綴っている。そしてまた楽しいことばかり綴りだしている。

 

 

 

私はこの人が過去に何があったのか、この人がどの時期に何を生み出してきたのかを知っている。それが本当にシンクロしている。

例えてみたら上手くいっている時はそこそこ仕事に慣れて楽しいことばかりの人生。でもその仕事がなくなり誰も助けてくれずもがき続けている時に自分で仕事を始め、そこでも騙され根こそぎお金を持っていかれ、借金まみれ。その後にふと出会った人と一緒に仕事を始めたところ大成功。みたいな感じだろうか。

振り返ってみたら1人もがいて仕事をしていた時の仕事がものすごくいい仕事をしていたからこそ今がある、ということだ。

 

 

言葉は難しいが、コンテンツとして私はそのもがいていた時期に生み出したものが大好きなのだ。

苦しんで、プライドを傷つけられ、すべてを否定され、誰に相手されずともそれでも自分を信じ続けて自分のやるべきことをし続ける。吐き続ける言葉は『本物』だった。だからこそ見ているこちら側に刺さるのだろう。嘘偽りもなく、とても人間らしいのだ。

 

挫折があって、悩みがあって、何度も転び続けて、後ろ指を刺されて、さようならがあって、抱きしめ合って、笑い合って。そして今は自分の幸せは自分だけのものではなく、あなたが嬉しいことが自分の幸せだとまで言えている。

この人は絶対に人を否定しない。これだけ周りに振り回された15年だろうと、その人たちに中指を立て続けたことを今の振り返りの際に語らない。それを乗り越えた上で伝えたい大切なことを伝え続けてくれる。

 

 

人間もその人間が生み出したものも全て本当に生物なんだと感じさせてくれるブログだった。

そんな人の人生に触れた時、私の心は何とも言えないほど大きく動く。大きく動き、大粒の涙が溢れる。すごく感化されるし、自分の価値観に埋め込まれていく。

 

 

私はこの人に初めて出会った時は、再出発の時期だった。「あ、この人ものすごいものを持ってるし経験してきてるんだろうな」ということがすぐに伝わった。衝撃的な出会いだった。鋭い目をしているのにものすごく優しい。そして明るく振る舞うのだ。

 

本当は挫折なんて知らない方がいい。でも転んでみて痛みを知る。それが運命と一言で片付けられない。

 

 

この1ヶ月、その人の11年分のブログを読んでさらに好きになった。私もきっとこれから先たくさんの挫折や苦悩を経験する。そんな時にこのことを思い出したい。しっかり胸に刻んでおきたい。